タトゥーがあってもMRI検査は可能?実際はどうなのか検証しました!

タトゥーがあってもMRI検査は可能?実際はどうなのか検証しました!

ネットや口コミで常識のような都市伝説のような、「タトゥーが入っているとMRIが受けられない?」をよく耳にします。実際のところをネット検索してみても、OK・NGの情報が混在し、あやふや。今回は検証を行った私の実体験とともに、紹介していきます!

タトゥーとMRI検査の関係性。MRI検査とは?

MRI(Magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴画像法)。強力な磁石でできた筒の中に入り、磁気の力を利用して体内の臓器や血管の断層画像を撮影する検査。放射線を使わないので、被ばくの心配はありません。もちろん痛みもありません。疾患によっては、MRI検査でしか発見できないものもあり、近代の医療では必要不可欠な技術です。心臓ペースメーカーや人工内耳を体内に埋め込んでいる場合など体内にMRI非対応の金属が埋め込まれている場合も、MRI検査を受けることができません。

出典:Piterest

何故タトゥーがある人はMRI検査がダメなのか?

タトゥーの顔料に金属が含まれていると、MRI検査時に発せられる磁気に反応しタトゥー部分が発熱する事により、火傷やタトゥーの変色のリスクがある。また、画像の乱れなどに影響があるから。とされています。

タトゥーインクに金属が含まれているのか?

近代のタトゥーインクでは金属を含まないものが、多くなっています。ただし一部のインクには例えば、二酸化チタン(食品や化粧品にも使用される、安全性の高い物)など、金属物質が含まれています。

出典:Pnterest

医療機関に聞いてみた

私自身がMRI検査を受けるべく、MRI検査を含めた健康診断を行っている医療機関に問い合わせてみました。

医療機関①:健康診断センター

結論:不可

東京都内の健康診断センターへWEBにて予約。後日、事前の記入をメールにて促された、WEB問診の中にタトゥー有無の問いがあり、「有り」と回答したところ、医療機関から電話がかかってきました。

「タトゥーのある方は”当所では”MRI検査を受けられない。MRI検査を除く健康診断であれば、受診可能。」とのこと。

理由を尋ねたところ、可能性が低い事は把握しているが、万が一火傷などの症状が発生した場合、健康診断センターである性質上、治療にあたる事のできる医師が常駐しておらず、対応ができないため。との回答でした。

医療機関②:検査・診断専門のクリニック

結論:可

東京都内のクリニックへ電話での予約の際、「タトゥーが入っているが問題はないか?」を尋ねたところ、比較的弱い磁気のMRI検査機を使用するので、火傷などのリスクが低い。万が一発熱を感じた際などに知らせる緊急用ブザーを持って検査を行う。過去に問題が生じたケースは無い。ただし、タトゥーの変色等についての症例を耳にした事があるので、了承してほしい。との内容を快く説明していただきました。もちろん了承し、予約が確定しました。

MRI検査を受けてきました(2025年5月)

予約したクリニックで、MRI検査を受けてきました。

担当医師から「検査前の問診中に閉所恐怖症ではないか?」などに加え、「全ての方に緊急用のブザーを押せる状態で検査を受けていただく。タトゥーの発熱なども含め、緊急時にはブザーにてお知らせを。」との説明を受けました。

「タトゥーが検査に影響を与えた実例があるか?」を改めて伺いましたが、そのクリニックでは実例が無いが、過去にタトゥーに含まれた酸化鉄が発熱したケースを聞いたことがある。との事でした。
実際にそのケースが起こった時期や詳細などは分からないそうだが、「昔」聞いたことがある。程度で、担当医師や技師としても、発熱などのリスクは低く、近代のタトゥーでは無用な心配であるような認識のようでした。

実際に私の検査もすんなり進行し、特にタトゥー部分の発熱などを感じる事もなく、無事に検査を終えることができました。

タトゥーが入っていてもMRI検査が受けられるか?

結論:可能だが、医師・医療機関の判断による

タトゥーが入っていてもMRI検査を受けることは可能です。ただし、医師や医療機関によるところもあるので、事前に相談が必要です。

日本診療放射線技師会によると、タトゥーが入っている場合のMRI検査の判断は、医師が個々の状況や疾患、また経済的な状況に応じて行うもので、一律ではないという見解を示しており、個別のケースとして判断されるということになります。中にはタトゥー発熱のリスクを承諾する旨の誓約書へ署名した上で、MRI検査を許諾する医療機関もあるようです。

私自身はタトゥーが入っていてもMRI検査を受けることは可能でしたし、タトゥー部分への影響は全く感じませんでした。

タトゥーが全身に施された私の知人の中には、怪我により入院した際に医師からタトゥーについての言及は全く無く、当たり前のようにMRI検査を受けた。との話もあります。

少なくとも近代のタトゥーがMRI検査に影響があるとは考えづらく、断る医療機関も個々のポリシーといったものではなく、漠然とした医療業界の慣例としてタトゥーのある方の検査を拒否しているように感じます。

医師をはじめ、医療従事者の方々が、タトゥーについて学びを深める機会は少なく、万が一のトラブルやその可能性を避けるために、断る事がある。というのが現状のようです。クリニックなども「タトゥーOK」のような内容はうたいづらい事なども考えると、個別に相談する必要がありそうです。

おわりに

実際にお話した医療従事者の方々の中にも、当たり前のように「MRIはタトゥーNG」とおっしゃる方もいました。理由を伺ってもネット検索で出てくるような内容で、印象としては漠然とした慣例などを疑わない方。でした。

40年ほど前、耳にピアスが一般化し始めた頃「ピアスを開けると耳たぶの穴から白い糸が出る。それを引っ張ると失明する。」なんて都市伝説が流行り、「友達の姉が実際に・・・」などと吹聴する人もいました。
「タトゥーを入れると皮膚呼吸ができなくなる。」こんな都市伝説を耳にした事もありますし、信じがたい事に、同じ内容の話を医療関係者の方から聞いた事もあります。

すでに笑い話のようなTHE・都市伝説ですが、未だに信じている方もいるかも知れません。

タトゥー×MRI論も程度は違えど、前述の都市伝説と似た性質があると私は感じました。皆さんも楽しく安全に、タトゥー・MRIを楽しんでください!

Writer:

KUW(40代)
MRI検査機の中は大きな音が鳴り続け、狭さも相まって我慢できない方もいるとの説明でしたが、私自身は眠りながら、検査を終えました。